宇宙戦争の仲間から現実の夫婦へ、『EVE Online』が結んだ縁

『EVE Online』の宇宙戦争の仲間から現実の夫婦になった縁を描いたイラスト

アメリカのテネシーから、アイスランドのレイキャビクまで飛んできた新婚夫婦がいた。二人は、2023年のEVE Fanfestに参加するためにアイスランドへ出発する前にも、巨大な宇宙戦闘に一緒に参加していた。

ゲームの仲間として8年以上一緒に過ごしたあと、現実で初めて会って、数か月で結婚したカップルだ。

現場取材で記者と話した妻は、『EVE Online』を11年プレイしているという。彼女は、ゲームのおかげで、現実で会う前からお互いを深く知っていけたと話した。

艦船を壊す楽しさのせいなのか、夫のせいなのか、わからないほどゲームにはまっていたという冗談も言った。長く一緒に戦った仲間を現実で会ったときは、すでに見知らぬ人というより、お互いの時間をかなり共有した仲だったわけだ。

EVE Fanfestは、こうした関係が目の前に現れる場だ。このイベントは、開発陣の発表を聞くゲームイベントであると同時に、何年もニックネームと音声だけで知っていた仲間に初めて会う機会でもある。

2023年には、16年間ゲームをしてきたけれどファンフェストは初めて参加するというユーザーもいたし、アメリカのカンザスシティのあるプレイヤーは、10年近く一緒にいたゲーム友達に直接会える期待に胸をふくらませてもいた。

巨大な戦争と複雑な経済、血も涙もなくお互いに殺し合い奪い合うゲームとして有名だけれど、そのぶん、気の合う人たち同士は、強い情を分かち合えるのだ。

〈EVE Onlineの公式日本語版ゲームプレイトレーラーで、広大な宇宙と大規模な艦隊戦の世界観を体感できる映像です。〉
* YouTubeチャンネル『EVE Online』にあがっている動画だよ。

宇宙船より大事な人たち

✦ EVE Onlineをひと目で

リリース・ジャンル・主なコンテンツだけ簡単に

✔ リリース:2003年
✔ ジャンル:SFサンドボックスMMO
✔ 舞台:広大な宇宙、ニューエデン
✔ 主なコンテンツ:探索・採掘・取引・製作・戦争

2003年にリリースされた『EVE Online』は、広大な宇宙で繰り広げられるSFサンドボックスMMOだ。探索と採掘をしてもいいし、物を売り買いしたり、艦船や装備を製作したりしてもいい。ほかのプレイヤーと戦争をすることも可能だ。

星系(地域)ごとに治安と危険度が違うので、同じ艦船を操っても、どこへ行くかによって経験が大きく変わる。宇宙の地図を読んで移動経路を組むことも、プレイの一部だ。

決まった物語だけを追うのではなく、プレイヤーがつくった経済と組織、外交と戦争が、「ニューエデン」の歴史を書き続けていく。

✦ コーポレーションとアライアンス

ギルドとギルド連合の概念

コーポレーション
• ギルドに似たプレイヤー組織
• メンバーと組織の資産を管理し、資金と構造物の使い方を決める
アライアンス
• 複数のコーポレーションが結ぶ連合
• 所属のコーポレーションが戦争に巻き込まれれば、メンバーも戦争の影響を一緒に受ける

その組織の中心には、コーポレーションとアライアンスがある。コーポレーションはギルドに似たプレイヤー組織で、複数のコーポレーションがアライアンスを結べる。コーポレーションが「ギルド」なら、アライアンスは「ギルド連合」の概念だ。

アライアンスに属するコーポレーションが戦争に巻き込まれれば、その組織のメンバーも、戦争の影響を一緒に受ける。このとき、誰と手を組むかが組織の生存とつながり、あっという間に組織が崩壊することもある。

コーポレーションは、単なるチャットルームではない。運営陣は、メンバーと組織の資産を管理して、組織の資金や構造物をどう使うかも決めなければならない。戦闘に出るか、生産と補給を担当するかによって、同じゲームの中でもやることが変わる。

どのコーポレーションを選ぶかは、本当に重要な問題だ。単に人々が親切かどうかだけ見ればいい問題ではなく、どんな方法でニューエデンに参加したいかによって、慎重にコーポレーションを選ばなければならない。

✦ 艦隊戦の役割

数より息の合い方

1偵察
敵を発見する
2指揮
目標を指定する
3攻撃
火力を集中する
4修理・補給
味方の修理と補給品の運搬

『EVE Online』の花である「艦隊戦」は、艦船の数が多いだけで勝てる戦いではない。偵察担当が敵を発見し、指揮官が目標を決めるあいだ、誰かは攻撃を集中し、別の誰かは味方を修理したり補給品を運んだりする。

✦ 損失のあとの復旧

失ったあとには、また集まる時間が必要

1資源をまた集める
2装備をつくる
3危険な航路で運ぶ
4次の戦闘を準備する

戦闘で艦船を失えば、艦船1隻がなくなるだけでは終わらない。資源を再び集めて、装備をつくって、危険な航路で運ぶところまで続いてはじめて、被害を復旧して次の戦闘に出られる。

戦闘が終わっても残る関係

この夫婦の話で注目すべき部分は、結婚までにかかった数か月より、現実で会う前までに一緒に過ごした8年だ。

一緒に戦闘に参加して、ゲームの中で長い時間を過ごしたということは、相手がどんな好みと判断を持った人か、知っていく時間があったという意味でもある。

『EVE Online』は、ソロプレイ中心のゲームではなく、合同戦闘や共同生活が本当の面白さのゲームだから、そのぶん、ほかのプレイヤーと強い絆で結ばれやすい。

そのせいか、『EVE Online』のファンフェストでは、独特な事例も掘り起こされた。

あるコーポレーションの仲間が現実世界で亡くなると、一緒にゲームをしていた人たちが、その人の両親が、アイスランドで開かれる『EVE Online』のファンフェストに来られるように、資金を集めた。

彼らは、行事に参加した両親に、レイキャビクとプレイヤーコミュニティを見せて、亡くなった仲間のカプセラの名前が刻まれた記念碑も見せた。オンラインで知り合った友達を、現実で追悼して、関係を続けた事例だ。

✦ 二組のカップル、二つの縁

ゲームが結んだ関係と、共同体が記念した関係

匿名の夫婦(2023年ファンフェストの取材)
ゲームの仲間として8年以上一緒に過ごしたあと現実で初めて会う/会ってから数か月で結婚
タイロンとイルマ(2018年ファンフェスト)
現実で先に出会い、ゲームとG-Fleetを一緒に運営/公式の結婚式のあと、ファンフェストでコスプレ式

タイロン・ウサロとイルマ・アマティンの話もある。二人は、ゲームで初めて出会ったのではなく、現実で先に知り合った。

タイロンがEVE Fanfestに行ってきて、ゲームとコスプレの写真を送ると、イルマもその世界に関心を持つようになって、二人は恋人になったあと、ドイツのプレイヤー集まりG-Fleetを一緒に運営した。

タイロンは、G-Fleetのイベントでプロポーズして、二人は、2018年のファンフェストが開かれる数か月前に、小規模で実際の結婚式を挙げた。

その後、ファンフェストでは、ゲーム内のアマー帝国の衣装を着て、「宇宙教皇」マックス・シンギュラリティが司式を務めるコスプレ式を行った。約100人のプレイヤーが、その場面を見守った。

このカップルは、ゲームで初めて出会った夫婦ではないけれど、EVEの共同体が現実の関係を一緒に記念した事例だ。

〈世界中のプレイヤーが集うリアルイベント「ファンフェス」の熱気と、コミュニティの絆を描いた公式ドキュメンタリー映像です。〉
* YouTubeチャンネル『EVE Online』にあがっている動画だよ。

EVE Onlineに入門するなら

✦ AlphaとOmega

無料で始めて、合うか確認してから有料に

✔ Alpha(無料):使える技術と艦船に制限がある。操縦と基本ミッションを覚えるのによい
✔ Omega(有料購読):より広い技術と艦船の選択肢を開く。自分のスタイルに合うか確認してから切り替え

『EVE Online』は、無料のAlphaアカウントで始められるけれど、使える技術と艦船に制限がある。有料のOmega購読は、より広い技術と艦船の選択肢を開いてくれる。

ひとまず無料で始めて、自分のスタイルに合うか確認してから、有料購読に切り替えるのがよさそうだ。

『EVE Online』は、気軽に接続して短い時間だけ楽しみたい人には、かなり複雑かもしれない。艦船のフィッティングとスキル訓練、市場、コーポレーションの運営を覚えなければならないし、PvPでは、あっという間に艦船を失うこともあるから。

古いゲームなので、いわゆる「ベテラン」プレイヤーがいっぱいの状況で、初心者は標的になりやすいだろう。

だから、ひとまず無料体験で始めて、操縦と基本ミッションを覚えたあと、採掘・探索・製造・貿易のうち、どれが自分のスタイルに合うか試してみて、新規ユーザーを受け入れて教えてくれるコーポレーションを探す方法をおすすめする。

先ほど見たカップルをつないだのは、恋愛イベントではなく、一緒に戦闘を準備して、危険を共にして、また集まって次の作戦を続ける時間だった。

『EVE Online』の宇宙戦争でいちばん長く残る戦利品は、艦船の残骸ではなく、その戦闘を一緒に覚えている人たちだ。

今回はここまでにするよ。また会おう。

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